国家の品格

 数学者、藤原正彦の「国家の品格」を読む。胸のすく日本人論。明快であり、すぐに読めた。
 日本の良さを見直そうと鼓舞する内容で、たいへん反響のあった本。長く続いた不況や治安の悪化、福祉や少子化への不安など、日本人が自信を失いかけていたときに良いタイミングで出たという側面もあるだろう。もっとも、この本がたいへんに売れていること自体が、日本の底力を示しているように思う。
 歯に衣着せぬ物言いで、やや先鋭に過ぎる論調ではあるが、納得できる部分も多い。
 教育についても、様々な具体例があげられているが、特に数学の天才が出る風土については、たいへん興味深かった。日本の教育にとって何が重要であるのかを大局から考えるきっかけを与えてくれた。

国家の品格 (新潮新書) [ 藤原 正彦 ]