書籍

生物と無生物のあいだ

生物とは何か。その根源的な問いに、生物学者福岡伸一が、DNA発見の経緯や自らの研究の過程を踏まえて向き合った書。 魅力的な語り口で、生命の謎をときあかすドラマが綴られていく。科学的で精緻な文章でありながら、時折深い抒情をたたえて記されていく…

素数に憑かれた人たち

「ゼータ関数の自明でない零点の実数部はすべて1/2である。」 「素数に憑かれた人たち」は、数学における最も重要な未解決問題「リーマン予想」について、その内容と、解決に挑んだ人々の姿を描いた書。奇数章には数学の解説が記され、偶数章には背景とな…

中島さち子TRIO REJOICE

「私はいま,宇宙の最も原始的な姿,人間の最も素朴な強さを,より鮮明に捉えられないかと,ぼんやりと考えています.人間の持つ醍醐味は,その個性や自我,喜怒哀楽,その限界……から離れたところにも広々と存在すると思う.-その,言葉にならない魅力を,ゆ…

人間の建設

評論家、小林秀雄と数学者、岡潔の対談「人間の建設」。芸術や文学、数学と幅広い分野に話は及ぶ。知性と知性の出会いが、雑談に普遍的な精神のダイナミズムを与える。 「素読教育の必要性」の中で、丸暗記の重要性、「すがた」に親しませることが必要と語っ…

これなら分かる応用数学教室 -最小二乗法からウェーブレットまで-

本書は、大学2年生のための「応用数学」の授業のための講義ノートが基になっている。線形代数と解析の基礎を説明しながら、信号処理への応用を記した本である。 「最小二乗法」から始まり、「直交関数展開」「フーリエ解析」「フーリエ級数」「固有値と2次…

広中平祐 生きること学ぶこと

数学のノーベル賞とも言えるフィールズ賞を受賞した世界的数学者、広中平祐が語る人生論。父母のことや学者との交流などを、飾らない言葉で綴っている。数学の難問に立ち向かう中での様々な学者との出会いや受けた影響の記述は、特に示唆に富んでいる。 生き…

天地明察

江戸時代初期、暦の作成に精魂を傾けた渋川春海の生き様を描いた冲方丁の小説「天地明察」。江戸城で囲碁を指南する渋川春海は、神社の絵馬に数学の問題を掲げた「算額」から、和算に惹かれていく。 関孝和、保科正之など魅力的な人物を配しながら、江戸初期…

フーリエの冒険

皆でわいわい言いながら、数学を学びあっていく。そんな情景が浮かぶ、「フーリエの冒険」。これほど分かりやすくフーリエ級数を扱った本はないだろう。新しい世界に冒険をする心持ちで数学に触れることができる。 波の成分の話から始まり、フーリエ展開、微…

高校数学でわかるシュレディンガー方程式

量子力学の歴史をたどりながら、最も重要なシュレーディンガー方程式が導かれるまでを、高校程度の数学を用いて解説した本。量子力学の誕生から、どう発展していったのか、その過程が分かりやすく語られ、たいへん興味深く読める。比較的簡単な数式を用いな…

国家の品格

数学者、藤原正彦の「国家の品格」を読む。胸のすく日本人論。明快であり、すぐに読めた。 日本の良さを見直そうと鼓舞する内容で、たいへん反響のあった本。長く続いた不況や治安の悪化、福祉や少子化への不安など、日本人が自信を失いかけていたときに良い…

線形代数とその応用

「抽象的になるということは、事柄によらず正しいと考えられているが、あまりにもそれを強調すれば真理ではなくなると思われる。」 線形代数について、このように語るとすっと入ってくるのかと、目を開かされた本である。ガウスの消去法から始まり、線形空間…